ピアノの歴史

ウィーン式ピアノ

モーツァルトが1782年ごろに買った、ワルター作のフォルテピアノ。

標準的な音域は5オクターブで、

ハンマーはとても小さくて軽く、軽快なタッチと、繊細な音色が特徴でした。
ハンマー、といっても、指の先、という感じで、

先には鹿の皮が巻いてあったそうです。

 

今日のピアノのような複雑なアクションではないので、

タッチがそのまま音になってしまう。。。



現代に復元されたウィーン式フォルテピアノを弾いたことがありますが、

なんとコントロールが難しかったこと!

自分の指が5本、「太さが違う」ということを認識させられた、と書いたらおわかりでしょうか?
音階1つ弾くにしても、なかなか均等な音量、音色で弾くのは難しかったです。

また、写真をみてもお分かりのように、ペダル、というものがありません。

もちろん、ダンパーはあるんですが、足ではなく、膝で操作するので、

これまた、思うタイミングでペダルの効果を出すのに悪戦苦闘しました。

現代のピアノに慣れきってしまった私たちには、大変な面もたくさんある

ウィーン式フォルテピアノ。とはいうものの、

演奏家の思い、感情を、そのまま伝えるような、そんな演奏が可能であり、

ダイナミックかつ繊細な音を響かせることのできるた、

 

ウィーン式のフォルテピアノって、

そのころの人にとってとても魅力的だったのではないでしょうか?

 

まだまだハープシコードや、クラヴィコードも混在していた18世紀後半、
ハイドン、モーツァルトといった作曲家たちが
このウィーン式アクションピアノに触発されて、
たくさんの鍵盤楽器のための作品を作曲していったのも
うなずけることではないかな、と思います。
かつて、鍵盤楽器をほかのソロ楽器と同等に扱い、
右手で和音ではなく、完全なメロディーを奏でさせたのは、
J.S.バッハでした。
オブリガードチェンバロとフルートのためのソナタ BWV1030
フルートにとっても難曲であるこの曲のチェンバロパートは、
まさに、一人で二役。
二人で演奏するトリオ・ソナタです。
フルートでも、チェンバロでも演奏したことがありますが、
やはり、強弱やニュアンスを細かく表現することができない、
という点で、アンサンブルに限界があるかなあ、
と感じたことがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウィーン式アクションは、

きわめて繊細な手でも容易に弾くことができる。

 

演奏者はこのアクションによって、

さまざまなニュアンスをこめて弾くことが可能である。

はっきり弾いたり、丸みのあるフルートのような音をだすこともできる。

大して骨をおらずに流暢に弾くこともできる」

(フンメル「ピアノフォルテ奏法」1828年)

 

写真はモーツァルトファミリー。

ひょっとしたら世界で初めての連弾の光景かもしれませんね。